親父つれづれ(皇紀弐千六百七十七年六月八日 四)

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 これを書いたら▲1です。

 平成二十七年(2005年)七月二十日 七十六歳で亡くなられた 故 宇佐美史郎氏(宇佐美の親父)の思ひ出を綴つてゐます。親父さんの七十六年の生涯の中で、私などたつたの二年間のお付き合ひです。でも、本當にかはいがつていただきました。

 ネットで「宇佐美史郎」と検索すると、私のブログ記事がわんさと出てきますね(笑)。



 今日は、親父さんとのよもやま話を。
 ある日、朝、宇佐美本社に行きました。社長室に入りました。「おはようございます」。「おー」。親父さんが背広を着てゐます。普段は、身なりなどを氣にする人ではありません。「慾」を果たすと言ふ意味での、「お金」などもあまり興味がありません。朝、SSの圖面を書いてゐるときその同じ机の上に1千万円積んであっても興味を示さないでせう。事業なんです。唯一興味があるのは。

 その親父さんが、背広??? 「親父さん、今日は、どうされたんですか?正装して」 「おー、實はなあJOMOの會合があると思つて背広にしたんだが、どうも明日みたいなんだ。に日にちを間違へた」 「あら」。

 經理の巽さんが入ってきました。「あらっ、親父さん、どうしたん。背広なんか着て」「實はな・・・・」

 次に佐藤部長が入ってきましたした。「おっ、親父さん、どうしました、背広なんか着て」「實はな・・・」

私「(爆笑) 親父さん、もう着替えてきたはうがいいですよ。一日中、いろんな人から同じことを聞かれるから」 「おー、そうするわ」

 別のある日のことです。当時の宇佐美は、愛知県津島市にある宇佐美鉱油が本社機のを果たし、全國に、北海道宇佐美、東北宇佐美、関東宇佐美、東京宇佐美、中部宇佐美、関西宇佐美、山陽宇佐美、九州宇佐美の8社がありました(北陸宇佐美はこののち。今は、東日本宇佐美と西日本宇佐美のふたつみたいです)。すべて親父さんが社長。でも、いつも各社に行くことはできませんので、各社には専務さんたちがいました。 野武士の集まりです(出光出身者が8社中4社)。

 毎月、第二土曜日に宇佐美本社で専務會が行はれます。親父さんは、本當に重要な議題があるときにしか出席しません。ある月の専務會の前々日のことです。私も、その日は、社長室にいました。すると、親父さんが、専務さんたちに電話をかけまくってゐます。「いいか、今月の専務會はなあ、前の日の金曜日の午後から來い」と。理由は告げません。

 さて、金曜日、専務さんたちが來るからといふので、私も十四時ぐらいに宇佐美本社に行ってゐました。「親父さん、今日、皆さん來ますね。樂しみでせう?」「ああ(たまらなくうれしさうな顔で)」。

 本の30分ぐらい後のことでせうか。「あーーーっ、寳德、今日は、〇〇の會合が名古屋であつたんだ。忘れてた。すままん、お前、あとは頼むぞ!!!」「ち・ちょつと」

 少ししたら、確か東北宇佐美の専務だつたと思ひましたが・・・來られました。「寳德さん、親父さんは?」「実は・・・・」 「えっ?ぢやあ、なんで、俺たちを前の日から呼んだの?何か重要な議題でもあると思ったのに」。 その専務さんから、各専務に連絡がいきわたりました。

 九州宇佐美の長井専務なんか「寳德さん、バカ親父はどこに行った?バカ親父は!」と入ってきました。その夜、専務さんたちと飲みに行ったら、親父さんの惡口ばかり。でも、みんなの目は笑つてゐます。あまり惡口を云ふので「みなさんは、親父さんの嫌いなの?」と冗談で聞くと「好きに決まってゐる」との答へ。いいですね~。

 翌日、専務會が終はつて、親父さんに、「なんで前の日から呼んだんですか?」と聞くと「うん?樂早くみんなに逢ひたくてな」「はっ?それだけ」 。 愛情たつぷりですね。顧客を愛し、社員を愛し、事業を愛す。

 宇佐美本社が改装したとき、新しい會議室が出來きました。机と椅子が當然置かれます。新し會議室の樣子をみた親父さんは不機嫌。「どうしたんですか?」「あのなあ、會議室のテーブルは、ロの字方ではだめなんだ。ロの字の會議は、話がよそよそしくなる。丸テーブルで間があいてゐないものでないとだめだ」 なるほどね。

 さて、前述の九州宇佐美の長井専務が、癌になつて手術を受けるときのことです。詳しく話知らないのですがかなり髙いステージだつたさうです。まさに、手術室に入らんとするその時、ちやうど、見舞いに來た親父さんと長井さんを乘せた、手術室に入るベッドがはちあはせました。「長井」「親父さん」この短い會話の中で長井さんは「親父が助けに來てくれた」と思つたさうです。涙涙の物語。

 あー、だめ。私は、親父さんのことを話すととまらなくなります。また今度にしますね。朝から氣分がいいや。

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このページは、宝徳 健が2017年6月 8日 02:56に書いたブログ記事です。

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