戰國策 再61(皇紀弐千六百七十七年一月二十五日 五)

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 楚の国の話です。今回の話も面白い。秦の宰相になる張儀がまだ説客で貧乏をしている頃の話です。テーマは「資金調達法」です。(20091108)
 張儀は楚に遊説しているとき金がなくなってしまいました。供の者がおなかがすいて辛抱しきれなくなって、暇をくれと言い出しました。そのとき張儀は、「貧乏暮らしがつらいのなら、しばらく待て。楚王に会ってなんとかする」と言って引き止めました。

 その頃楚では、南后(なんこう:后(きさき))と鄭袖(ていしゅう:側室)が楚の懐王(かいおう)に寵愛されていました。

 張儀は懐王に謁見しました。でも、懐王は張儀をとりたてる気はありません。

張「王は私に御用がないようですので、北に行って晋王に会おうと思いますが」
王「よかろう」
張「ついては、晋の国に何かほしいものはありますか」
王「わた国には、黄金、玉などなんでもある。ほしいものなどない」
張「女もですか?晋の国で見かける女たちの美しさは、よそから来た者には、まるで天女が降り立ったようにみえます」
王「なにぶん楚は、へんぴな国である。中原諸国の美人には縁がない。ぜひ、そういう女を可愛がってみたいものだ」

 王はその費用として珠玉を張儀に与えました。南后と鄭袖は、この話を聞いて気が気ではありません。南后から張儀のもとに使者が立ちました。

「将軍は近く晋へ行かれるとのこと。ここに金千斤がございます。路銀としてお使い下さい」

 鄭袖も金百斤を贈りました。

 張儀は懐王にお別れの挨拶に行きました。

張「各国とも往来を厳重にしている今日、いつまたお会いできるかわかりません。つきましては、お別れの盃を頂戴したいと存じます」
王「よかろう」
張「二人だけでは寂しゅうございます。どなたかお気に入りの方に、お相手願うわけにはまいりませんでしょうか」
王「それもそうだな」

 ということで、南后と鄭袖が呼ばれました。

張「申し訳ないことをいたしました」
王「いったいどうした」
張「わたしは全国を歩いてきましたが、これほど美しい方にお目にかかったのは初めてです。そうとは知らず、美人を求めてまいりますなど、たわけたことを申しました」
王「よい、よい、気にするな。わしも実はこの二人ほどの美人はおるまいと思っていたのだ」

 ですって。張儀は資金調達を果たしました。頭のよか~。

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このページは、宝徳 健が2018年1月24日 22:15に書いたブログ記事です。

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