戰國策 再62(皇紀弐千六百七十八年二月四日 四)

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 この記事は2009年に書いてゐまるね(20091117)。

 楚の国の話の続きです。さて、秦の国の宰相になった張儀が楚にやってきました。張儀は、楚の懐王をペテンにかけた前歴を持っています。それなのに、秦王の意を受けて、秦・楚同盟をつくろうと、のこのこ楚に乗り込んできました。懐王は張儀を捕らえました。さて、どうなるか。
 楚の懐王は張儀を捕らえて殺そうとしました。そのとき、ひとりの寵臣が張儀をかばっていいました。

「張儀を捕らえれば、秦王が怒ります。いま、秦という後ろ盾を失えば、楚は必ずや諸侯からあなどられます」
 
 その寵臣は王に愛されている夫人にも言いました。

「王のお情けが失われるかどうかの瀬戸際ですぞ。張儀は秦の功臣です。それを捕えたのです。秦王はなんとかして救おうとなされる。秦王には、日頃可愛がっている美しい姫がいます。秦王は、その姫を輿入れさせる代わりに、張儀の釈放を要求するでしょう。その際、姫にはたくみな美女が宮中からえりすぐられて付いてきます。そのうえ、持参金として莫大な金銀財宝が、また姫の化粧料として領地もついてくるでしょう。
 当然、懐王は、姫を愛するようになります。なにしろ、姫には秦という強国がうしろに控えているのです。それに加えて、持参金と土地がものをいいます。王妃としてにらみをきかすことは間違いありません。王は楽しみに溺れましょう。姫ばかりを大切にして、あなたのことなど忘れてしまいます。あなたは日増しにうとまれ、遠ざけられます」

「それは困ります。どうか力になってください」

「今すぐ、王に言って、張儀を釈放させるのです。そうすれば、張儀は、一生あなたの恩を忘れません。秦は姫の輿入れを取りやめます。あなたを重んじることも確かです。王の寵愛を独り占めできるばかりか、秦との結びつきもできます。張儀に恩を売って利用するのです。そうすれば、お子様を楚の太子にすることだってできます。その利益は計り知れません」

夫人は、あわてて懐王を説き伏せ、張儀を釈放させました。

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このページは、宝徳 健が2018年2月 3日 22:26に書いたブログ記事です。

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