カウンセリングの技法 再7(皇紀弐千六百七十八年二月十一日 四)

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 カウンセリングには三段階がありました。

①リレーションをつくる
②問題の核心をつかむ
③適切な処置をする

でした。そして、リレーションをつくるためには、「受容」と「支持」が不可欠でした。今回は、支持の最終回です。前回書いた、二人いるはずなのに一人になるということを勉強しましょう。経営者・リーダーの方々は、社員との面談等の際の参考にしてください。
 カウンセリングというのは、二人で考える作業です。二人が一人になる作業です。「確かに君の言うとおりだ。しかし私は・・・というわけで××できないのだ。何かいい方法はないかなあ」と言えばいいのです。敵対するのではなく一緒に考える。

 國分先生という心理学の大家がいらっしゃいます。その方が大学教授の頃、学生とこんなやりとりがありました。その学生は國分先生の心理学の単位がとれなかったばかりに留年になりそうだったのです。何とかしてもらえないかと学生が國分先生に頼みに来ました。

 國分先生の実感は自分の一科目だけのために、一年間授業料を払い、その上卒業も遅れるのか。なんとかしてあげたいなあ、というものでした。

國分「たった一科目で落第か。ショックだろうなあ」(答案を再度確かめましたが確かに合格点に達していません)

國分「君の答案だけ点を増やすのはフェアじゃないから、それは僕にはできない。だけど、何か条件付で仮進級する方法はないのかなあ」とまずは独り言のように言いました。次に、

國分「どうなんだ、君の指導教授に相談してみる方法は? 僕は僕で何か方法はないか学内のルールを調べてみるよ。今日の午後、もう一度来ないか」

 その学生は、午後にもう一度来て「先生、やっぱり無理でした」と晴れ晴れとした顔で語ったそうです。結果は同じでも、人生の危機に直面したときに事務的につき返されるよりは、支持的に接してもらう過程を経た方が、人生の苦難に立ち向かう意欲が出てくるようですね。

 このカウンセリングの技法を読んで「そんなまどろっこしことはしていられない」「そんな相手に迎合するようなことはできない」と考えられる方もたくさんいらっしゃるでしょうね。でも、今のやり方を続けていれば、相手の行動の変容は引き出せないことも事実です。こう思った方は、自己の内面を深く探ってください。「こうあるべきだ」「こうあらねばならない」というイラショナル・ビリーフ(非合理的信念)があるはずです。

 研究尽くされた考え方に異論を唱えるということは、自分だけが特殊な存在だと認めてしまっていることです。変容は「素直」から起こります。クライエントからではなく、カウンセラーから。社員からではなく、経営者・リーダーから変容することが大切です。

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このページは、宝徳 健が2018年2月11日 08:25に書いたブログ記事です。

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