玄鳥至(皇紀弐千六百七十八年四月四日)

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 この記事から明日のルーティンです。明日、四月四日から 七十二候 清明 初候 玄鳥至です。

 「つばめきたる」と讀みます。

 冬の間、暖かい東南亞細亞で過ごしてゐた燕が海を渡つて、日本にやつてくる頃です。農耕シーズンの始まりです。

 燕はかはいいのですが、商賣では困つたところもあります。糞です(笑)。まあ、いいか。

 アネモネが咲く時期です。
 以前、このブログで「どの本よりわかりやすいギリシャ神話」をシリーズで書いていました。その一つの記事を紹介します。

(平成十八年十二月三日掲載分)
 昔、ピュグマリオンという名前の王様がいました。その王様が、象牙に刻まれた美しい女体に恋をして、神様に祈り続けた結果、なんとなんと、ほんとうにその象牙の像が人間になって妻にしたというのです。まあ、神話の世界だから許しましょう。

 そのピュグマリオンの孫に、キュプロス島の王様、キニュラスという人がいました。彼の容姿の美しさは、彫像から化身した祖母の血を受け継いだものに違いないというばかりのものでした。

 ある日、館の乳母がきて、「午前様の夜伽をしたいという女がおります。ただ、その方はお立場がある方なので、お姿をあらわにすることだけはお許しくださいとの申し出が来ていますが、それでも、その女を抱いていただけますか?」

 まあ、一興だと思ったキニュラスは、「よかろう」と言って、受け付けます。

 抱いてみると姿は見えないものの、すばらしい体をしています。

 それが、もう十二夜も続きました。

 その日の夜は、ちょうどお祭りで、王様も酔っていたので、「よ~し、今日は顔を見てやろう」と考え、その女の体を堪能したあと、火を女に向けて顔を見たのです。そこにいたのは・・・・。

 話しは変わりますが、キニュラスは、ひとりの美しい娘ミュルラがいました。この娘も一門の血筋を継いで、すばらしい美女でした。いろいろな国の 王子から、求婚されていました。でも、いっこうにその気になりません。キニュラスもやきもきします。キニュラスがたずねても、ミュルラは、首をうなだれ て、涙を流してばかりです。キニュラスは乳母に尋ねましたが、乳母もわかりません。

 あるとき、乳母は、このミュルラが首吊り自殺をしようとしている現場と出くわします。「なにをなさいます!私にだけにもわけを話してください。きっとお力になりますので。」

 乳母に嘆願されたミュルラは、涙ながらに苦しい胸のうちを告白しました。・・・・・
 そうです、ミュルラはどんな時代にあっても許されない恋をしていました。父キニュラスに恋をしていたのです。

 そして、・・・・キニュラスの臥所に十二夜忍び込んできた女、それはミュルラだったのです!!!ジャ~ン!!

 キニュラスとしては、国王として、法を犯したものを切り捨てなければなりません。剣の鞘を払いながら、ミュルラを追いかけます。ミュルラは、「もう、帰れない」と、必死に逃げます。キニュラスは、やはりかわいい娘だったのでしょう。追跡が甘くなり、逃がしてしまいます。

 ミュルラは、何度も死のうと思いましたが、死ねません。それは、ミュルラは身ごもっていたからなのです。ミュルラは天に向かって言いました。「私 は許されない罪をおかしました。もとより天界に入る望みはありません。どうかこの地の果てで、人の世にも黄泉の国にも属さないものとして生き続けとうござ います」。

 ミュルラの声を聞き届けた天は、ミュルラの足は、地に埋もれて根となり、体はそのまま樹木の幹となり、天に差し伸べた手はみるみるこわばって、枝となりました。

 実は、ミュルラを英和辞典で引くと、「没薬の木の樹脂」となっています。この樹脂は、古代防腐剤として使われていたようです。ミイラをつくるときのも、用いられて、ミュルラはミイラの語源とも言われています。

 ミュルラが化けた樹木は、幹の中ほどに大きな膨らみがありました。胎児を生み出そうとうめき、もがく樹木を、出産の神様が見かねて、幹を切り、胎児を取り出しました。

 じゃ・じゃ・じゃ~ん。この子が、ギリシャ神話で、最も美しい少年アドニスです。

 
平成十八年十二月三十日にこのブログに書いた記事からです。

 前話より続く。こうして父との禁断の恋をしたミュラルが化けた樹が生んだ少年が、ギリシャ神話の中で一番美しい少年アドニスです。ピュグマリオン以来の美 貌のせいで、大きくなるにしたがってさらに美しくなりました。ばら色の肌、風にゆらめく金髪、瞳は泉の青さを秘めて澄み、均整のとれた肢体には、ひとつの 贅肉もない。アドニスといえば美少年、美少年といえばアドニス。   この少年の美しさにいちはやく目を留めたのが、美の女神アフロディテ(ローマ神話のビーナス)です。アフロディテは、たちまち恋のとりこになりまし た。でも、これには好こし訳が。実はアフロディテの息子のエロス(ローマ神話のキューピット)が関係しているのです。エロスの持っている矢は、誰かが異性 を見つめているときに、その人にその矢を射ると、その人は、見つめている人に恋をするのです。今回も、母親のアフロディテがアドニスを見ているときに、 誤って母親の乳房に矢を射ってしまいました。

 でも、この恋は、アフロディテには報われない恋でした。なぜなら、アドニスはあまりにも若すぎて、アフロディテの愛を受け入れることができなかっ たのです。アドニスは、もっぱら狩りに興味がありました。アフロディテは、「あんな恐ろしい猛獣と戦って、万一怪我でもしたら」と心配でなりません。

 アドニスに「決して無茶をしてはだめよ。何かあったらすぐに私を呼ぶのよ」とアドニスに伝えています。

 ある日、アドニスが、狩りにでかけ、猪と格闘して、死んでしまいました。アフロディテの名前を呼ぶ暇もなかったのです。アフロテディテは「ああ、だれか、お願い、この人の命を返して」

 そして、冥界の王のところに行きました。「どうかこの人を生き返らせてください。まだ、こんなに若いのに」 王「それはならぬ。しかし、せめて花の姿に託して、一年のうちに数ヶ月は地上によみがえらせてあげよう」。
 ということで、アドニスの血がにじんだ大地の中から細い草の芽が萌たち、すくすくと茎を伸ばし、やがて真紅の花を咲かせました。花は、アドニスその人の ように可憐であったが、命は短く、風(アネモネ)の息に吹かれてたちまち散ってしまいます。そのはかない散りざまにちなんで、風(アネモネ)の花、つま り、アネモネと名づけられました。

 アフロディテは、アドニスの短い命をはかなみ、花の行方を追いながら涙ぐみまし。其の涙も花となり、バラとなりました。

 ところで、アドニスの命を奪った猪は、なんと、狩猟の女神、アルテミスだったのです。アルテミスとアフロディテは仲が悪かったのです。

 ここまでが以前書いたブログの記事です。

 春一番、新年を祝う花としてその名前が付けられました。

 この福寿草の學名が「アネモネ(またはアドニス)」なのです。

 えっ? どうでもいいことを長々と説明するなですって(笑)? いいじゃないですか~。古代人の情緒を知っても・・・。

 福寿草はそのかわいらしい花と反して、根茎には強い毒性があります。口にすると場合によっては死ぬこともあります。う~ん、きれいなものには毒があるんだ~。


 


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このページは、宝徳 健が2018年4月 4日 21:48に書いたブログ記事です。

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