カウンセリングの技法 再33(皇紀弐千六百七十八年五月七日 四)

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 カウンセリングには三段階がありました(20101124)。

①リレーションをつくる
②問題の核心をつかむ
③適切な処置をする

 リレーションを作るために「受容と支持」が必要でした。問題の核心をつかむために「繰り返し」「明確化」「質問」を勉強しました。適切な処理をするために、情報提供とアドバイスがありました。これがカウンセリング体系です。

 面接中期の留意点を続けます。前回までは沈黙。今回からは抵抗です。

 クライエントが面接を拒否する心理を抵抗といいます。毎回遅刻する。面接中しばしば時計を見てまだ面接が終わらないかなあという様子を示す。木で鼻をくくったような返事をする。積極的に話さない、カウンセラーの言葉にのってこない(無視する、忘れる、しかしと反論する)。何とはなしに迫力がない(訴えるものがない、心に響くものがない)、同じ話の繰り返し、高踏的態度、沈黙しがち、無断欠席などが抵抗の表れです。

 コンサルティングをしているとこんなのはしょっちゅうです。でも、このように表に出てくる抵抗はまだいいのです。表に出てこない抵抗はしまつにおえません。ニコニコしているけど、話のポイントがぼけている。カウンセラーの発言に同調はするが、具体的な行動が起こらない。あるいは同調の後、具体性のある連想内容が伴わない。カウンセラーの言いそうなことを先取りして語り、ものわかりのよさそうなかっこうをする。このような隠された抵抗を陰性抵抗と言います。

 抵抗があると感じたら、カウンセラーはまず、自分のそれまでの応答の仕方に手落ちがなかったかを反省・検討する必要があります。たとえば、クライエントをとがめるような言い方をしなかったか。時期尚早の解釈を与えなかったか。ただ聞くばかりで適切な反応(相づち、表情、繰り返し、支持など)が足りなかったのではないか。あるいは、押し付けがましい言い方はしなかったか。聴く熱意に欠けるところはなかったか(何か他のことを考えていなかったか)。理解がとんちんかんで話のかみ合わないところがなかったか。早く何とかしようとあせってプッシュしなかったか。あるいは、圧力的なことはなかったか。いやがる箇所をしつこく突っ込みすぎなかったか。推論でものをいわなかったか。などなど。

 もし、思い当たる節があれば、もう一度リレーションを作り直します。もし、思い当たる節がなかったら、たぶんクライエントの方に何かがないかと推論します。

 クライエント側に何かがあるときは、感情移転の場合がほとんどです。つまり、父母、同胞、教師、カウンセラー、上司、異性などに対するにがい経験を思い出して、そのときと類似の感情をカウンセラーに向けているのです。陰性感情移転といいます。

 次回は、これをもう少し詳しく見ていきます。

 「こんなことを、企業現場ではやっていられないよ」とおっしゃる方が多いと思います。私もそう思います。でも、戦後の誤った教育によって、日本人は、ほとんどが病気と言っていいと思います(言いすぎだと思わないでください。そう考えた方が納得がいくということです)。コーチングが企業現場でうまく行かない理由がわかりますか? コーチングで未来に向かわせようとする前に、カウンセリングで、過去のマイナスを0にする必要があるからなのです。

 戦前の日本の教育は「強い人間」を育てるものでした。ですから、コーチングもカウンセリングも必要ありませんでした。それが戦後の誤った教育により、「弱い人間、自分勝手な人間、そのくせすぐに責任転嫁して、人の助けを求める人間」が育ってしまいました。昔の日本であれば、こういう人間は、乞食をするしかなかったのですが、なまじっか経済成長をしてしまったので、こういう人間でも飯を食っていけます。

 個性、個性と叫びながら自分勝手な事をしている、髪の毛まっちゃっちゃの高校生を見てください。個性と叫び、自分の自由と叫び、みんな同じ恰好をして、同じ言葉をしゃべっています。個性といいながら、同質化を求めています。彼らの授業料を税金で負担するという愚策が彼らとその親を益々増長させます。

 こういう類の人間が企業現場に入ってくると「主張はするけど仕事はしない」という病的な労働者(あえて社会人と言いません)になります。

 私たちは、戦後65年間、間違った憲法と教育を受け入れてしまったのです。その責任を私たち大人がとる必要があります。微々たる抵抗かもしれませんが、企業現場において、このような労働者(もちろんそうでない若者もたくさんいますが)を治療するという考えも少しは持つ必要があるのでしょう。

 それも仕事と受け入れるしかありません。では。

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このページは、宝徳 健が2018年5月 6日 20:03に書いたブログ記事です。

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