カウンセリングの技法 再6(皇紀弐千六百七十八年二月七日 弐)

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 再掲シリーズの一つです(20100910)。

 カウンセラーの大家に、カール・ロジャーズという人がいます。「パーソン・センター・ド・カウンセリング」つまりクライエントとの面談を通してカウンセリングをしていくという手法がとてもすごいのです。

 ロジャーズの本の中に、「自分自身との対話」「もうひとりのクライエント」という言葉が頻繁に出てきます。つまり、カウンセリングとは、カウンセラー(セラピスト)とクライエント(患者)が相対するのですが、カウンセリングが深まってくると、二人いるという感じではなく、カウンセラーの存在が消えてしまい、クライエントは、自分自身のもうひとりと話し始めるそうなのです。


 これは、卓越した経営者と話をしているときにも出てくる現象ですね。例えば故宇佐美の親父。親父と話しているときの私は、自分自身に問いかけるように親父と接していました。心がものすごく浄化されていました。経営もカウンセリングなのですね。こういう経営者のもとだと、行動の変容が自然と起きてきます。


 カウンセリングには三段階がありました。

①リレーションをつくる
②問題の核心をつかむ
③適切な処置をする

でした。そして、リレーションをつくるためには、「受容」と「支持」が不可欠でした。前回から支持を勉強しています。今回は、何でもかんでも支持すればいいのかというテーマでしたね。

 支持するものとしないものを分けておかないと、クライエントは、「このカウンセラーは調子者だ」「このカウンセラーには定見がない」と信用しなくなります。

 だから、何を支持し何を支持しないのかは、

①理論を勉強する

②過去の同じような事象をよく勉強しておく

③自分の過去の体験をいつも思い出しておく

 ことが必要となるのです。つまり、カウンセラーが、十分な勉強をしておくことと、様々な人生経験をしておくかがとても重要なポイントとなります。

 最近は、非常に便利な世の中になって、情報などもすぐに手に入りますし、車ですぐに行きたいところにいける、スイッチを押せばご飯を炊けるなど、不便を味わうことが少なくなってきました。また、不況不況といいながら、ちゃんとご飯を食べられます。

 つまり、便利な世の中になったので、人間が考えなくなったこと、また、便利だからゆえに、貴重な体験をするシーンが少なくなりました。知恵を発揮する場がなくなってきているのです。ですから、クライエントはどんどん増えますが、カウンセラーがなかなか育たない(心理学の分野だけではなく、経営の現場においても)。

 私たちはよりいっそう、勉強をしたり、こちらから進んで、貴重な体験を得られる場に身を置く必要があります。素晴らしい人とのコンタクトを増やす、手紙を書く、読書をする、移動の際にもたまには、歩く、または、鈍行に乗るなどです。

 豊かな経験を通して、きちんと支持していいもの悪いものを見極められるようになりましょう。こういうことをしないで、「あなたの気持ち、よくわかります」なんていっても、カウンセリングの場でも、経営の場でも、通じるわけがないですよね。

 次回は、支持の最終回です。今日の最初に書いた、二人いるはずなのに一人になるということを勉強しましょう。

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このページは、宝徳 健が2018年2月 7日 06:07に書いたブログ記事です。

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