命の手紙 90(皇紀弐千六百七十八年六月二日)

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 今年、九十一歳になる父が、どんどん手紙を送ってきます。息子にも送っているみたいですが、息子は、とても克明に讀んでゐるみたいです。知らない土地などは、グーグルで調べたりして。じいちゃんとよく似たやつだ(笑)。

 父は、一昨日、白内障の手術でした。手術はうまくいったと妹から連絡。よかった。益々元気になりさうです。

 さて、つづきです。海軍のこと。
 シングはベッドに毛布。毛布カバーで覆う。畳んだ毛布の端が直角に揃っていなかったら崩される。

 洗面所に洗面器がない。手で受けて洗う。艦隊勤務になると「水」は貴重な品である。「ながら」は禁止。手を拭きながらあるいていると『待て』とどやされる。

 バッター(軍人精神棒)での制裁がある。「尻 ケツ」を連打される。戦後、これを批判した本があふれていたが、殴られる側の僕に言わせると、殴られる側に落ち度がある。

 軍隊は規律を求められるが、すきがあれば「サボろう、サボろう」とする者たちの集団だから制裁を食うのだ。

 先ほど、米軍の航空機で松空は壊滅したとお話した。寢ところがないので第23分隊は道後国民学校に移った。

 当然のことだが、民間の人と同じ環境であるから規律が乱れる。民間のことを「娑婆 しゃば」と言っていたが娑婆で生活しているとその中に入り込んでしまう。取りまとめるボク(組長)は責任者としてバッター20発の制裁を受けた。

 お尻を叩かれると寝ることができない。痛くてうつ伏せになることもできない。道後国民学校は道後温泉のすぐ横で入浴(海軍では英語でバスという)は娑婆の人と一緒だったが同僚に連れられて通った。

 ボクは規律が前面に出る軍隊が好きだ。殴られる側にそれだけの落ち度がある。隙があったら規律をないがしろにしようと思っている人が多いのが軍隊だから油断ならない。 つづく

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このページは、宝徳 健が2018年6月 2日 09:03に書いたブログ記事です。

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