戰國策 再105 最終囘(皇紀弐千六百七十八年七月二十八日 四)

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 長らくご愛読いただいた戦国策も最終回となります。今日は、中山(ちゅうざん)という国の話です。テーマは「怨みは深浅を期せず」です。
 中山君が国中の名刺を招いて一席設けました。その席に司馬子期(しばしき)という男がいました。たまたま、羊のスープが足りなくなって、彼のところまで回ってきませんでした。これを根にもった司馬子期は、怒りにまかせて楚に逃亡して、楚王をしかけて中山を攻撃させました。中山君は、国外脱出をはかりました。そこへ、矛を手にした男が二人、後を追ってくるではありませんか。

 中山君は「何者だ」と聞きます。二人は答えました。

「先年、君から一壷の食物を与えられて餓死を免れた者がおりました。私どもは、その者もせがれでございます。父は、いまわのきわに、『紂暗に事あるときは死をみおってこの恩に報いよ』と言い遺して果てました。今こそ恩に報いるときかと思い、かくはせ参じました」

 中山君は思わず嘆息しました。

「わずかな施しでも、相手が困っているときにすれば効果てきめん。ささいな怨みでも、相手の心を傷つければ手ひどい報いを受ける。私はいっぱいのスープで国を失い、一壷の食物で勇士二人を得た」

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このページは、宝徳 健が2018年7月28日 15:29に書いたブログ記事です。

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