どの本よりわかりやすい千夜一夜物語 12(皇紀弐千六百七十八年十一月四日 參)

| コメント(0) | トラックバック(0)
 千夜一夜物語の成り立ち(?)をもう一度。ある王樣兄弟が、出かけてゐるとき妻が奴隷と不倫をしてゐました(もう少し詳しいのですが割愛)。それで女が信じられなくなつた王様は、國中の処女をを次々と夜に呼び出し、セックスとしてから殺していきました。もう、処女は、大臣の娘姉妹しかいません。あねの名前がシャーラザッド。シャーラザッドは寝物語に王樣に面白い話をたくさんします。

 王樣は次の夜もシャーラザッドの話を聞きたいので、シャーラザッド姉妹を殺しません。つひには、自分の過ちに氣つき女性を殺さなくなりました。その話が、千夜と一夜つづいたからこの物語といふことです(日本人がつけた名前だと思ひますが。アラビアンナイトなので)。

 さて、今囘から話が變はりますが、シャーラザッドが王に話を始めてから二十四夜となつたときの話です。

「今夜は遠い支那の國の話です」
「まだ見ぬ國のことじゃな」
 今は昔、支那の國に一人の仕立て屋が住んでゐました。名前はわかりません。この男はどんちゃん騒ぎが好きで、女房もまたしかり。毎晩毎晩客を集めて飲み食いです。よりを徹して。

 父が若いころ、我が家には毎晩客が十人前後來て飲んで騒いでゐました。父が仕事でいなくても來てゐました。母は大變だつたと思ひます。私と姉はいつも母に云はれてゐました。

「夜になつたらお客さんがたくさんきて、騒がしいから今のうちに宿題をしておかないと知らないからね」

 なんとまあ理不盡な怒られ方なのでせう(笑)。そんなことを書きながら思ひ出しました。

 それともうひとつ。今は、使ってはいけない言葉が多すぎます。今囘の話に少し關係がありますので書いておきます。でも、歴史や昔の物語を讀むときに、その時代に使つてゐたその言葉を使はないと、正しく讀めません。注釈をつけて使ふならまだわかりますが、それらの言葉を使つただけで、譯の分からない團體からクレームの嵐です。看護婦もそうです。看護婦でいい。看護師と云へば男性とすればいい。バカみたいです。

 小學生のときだと記憶してゐます。「ノートルダムのせむし男」を學びました。この「せむし」と云ふ言葉が禁止用語。では、「セロ弾きのゴーシュ(宮沢賢治)」は?なんて云ひかえれば???

 話を戻します。ある日の夕刻、二人が家に歸る途中、路傍で一人の男に巡り会ひました。この男が實はせむしなのです。「背骨の不自由な人」でいいのかしら? 別に、身障者の方のことを申し上げてゐるのではありません。當時のことは當時の言葉で語られなければ文學の價値が落ちてしまひます。

 三島由紀夫の作品が現代假名遣ひで書かれてゐるやうに。

 長くなりましたのでつづく。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.soepark.jp/mot/mt/mt-tb.cgi/8078

コメントする

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.261

このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2018年11月 4日 10:20に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「これはためになる(皇紀弐千六百七十八年十一月四日 弐)」です。

次のブログ記事は「母の命(皇紀弐千六百七十八年十一月四日 四)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。