どの本よりわかりやすい千夜一夜物語 13(皇紀弐千六百七十八年十一月四日 參)

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 これを書いたら今年のブログ目標はあと9通です。話を戻します。

 今は、昔、東の國に、一人の仕立て屋が住んでゐました。この男はどんちゃん騒ぎが好き。女房も。客を集めては飲みかつ喰らひ、夜を徹して馬鹿話をする。

 ある日、二人が家に歸る途中、道端で知り合ったせむしの男がいました。身体はそんな状態なのですが、すこぶる明るい。顔つきも身振りもおかしい。大きな箱の底を叩いてしきりに首をかしげてゐます。

「何している?」仕立て屋が聞きます。

「大切なお金を失くしたのだが暗くてわからない」

「なぜ、箱の底を叩いてゐる」

「うん、昼間にうちにお日様の光をたくさん入れておいたからいまそれをただき出してゐる」

「おおしろいやつだなあ(こいつと一晩飲み明かしたら面白いだらうなあ)。金なんか俺がやらあ。それより、俺に家に来て一杯やろうぜ」

 仕立て屋は家に連れて歸ります。女房も大喜び。腕によりをかけて魚のから揚げをつくり、特別大きいのをつまんで、「さあ、遠慮はいらないからどんどんお食べ」

 とせむしの男の口にぐいとおしこみました。

「あーうーっ」

 せむしの男は、のどにさなかの骨をつまらせて死んでしまひました。さあ大変。つづく

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このページは、宝徳 健が2018年12月 2日 09:24に書いたブログ記事です。

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