どの本よりわかりやすい千夜一夜物語 23(皇紀弐千六百七十九年 令和元年九月九日 四)

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 連載が途切れる最後に書いたのがこれです。次回からこの続きを書きます。

 仲賈人の面白くない話に、総督は納得しません。「この程度の話ではとてもお前たちの罪を許すわけにはいかない。料理番よ、お前はもっと面白い話をするのだろうな!」

 料理番は、話し始めました。これも身體不自由な若者の話です。その若者は、両手両足の親指がすべてないのです。
「私が青年に会ったのは、ある会食の席です。その男は食事の後に氣でも狂つたやうに繁く手を洗います。石鹸で四十囘、加里(ある消毒藥)で四十囘。その潔癖ぶりも奇妙ですが、親指のないところも變はつてゐます。そこで理由を聞きました」

 その若者も商人です。店先で美麗な貴婦人と知り合つたところも仲賈人と同じです。

 その貴婦人は、あるお后様の筆頭腰元でした。女の方も若者を見染めましたが、身分柄お后様の許しが無ければ交際は許されません。

「お后様に氣に入られるかどうか、面接試驗を受けてください」

「しかし、お后様のハーレムにうまく忍び込むことができますかどうか」

「私が方法を考へます」

 どんな方法でせうか? つづく

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このページは、宝徳 健が2019年9月 9日 06:17に書いたブログ記事です。

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