政府による罰金の強化3(皇紀弐千六百八十年 令和弐年十二月二十九日)

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 つづけますね。とにかく言いたいのは、課税売上額(消費税をカウントしない年間の売上高)が1,000万円以下の事業者は、その事業者が発行する請求書や領収書は取引先に受け付けられなくなるということです。それを回避するには免税業者が、消費税課税業者として申請し、消費税を払うしかないのです。つまり、利益が落ちるということです。

インボイス制度が導入されると、次のような変化が起こると考えられます。


年間売上高が1,000万以下でも消費税を納める事業者が増加する

 現行法では、基準期間等の課税売上高が1,000万円以下の事業者については「免税事業者」として消費税の納税義務が免除されています。この免税事業者という取り扱いはインボイス制度導入後も認められますので、インボイス制度導入後も基準期間等の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税を納める必要はありません。

 しかしながら、免税事業者の要件に収まる売上高の事業者でも消費税を納める事業者が増加することが予想されます。その理由は、上述した通り、インボイス制度導入後に、インボイス(適格請求書等)を発行できる事業者が「適格請求書発行事業者」に限られるようになることです。「適格請求書発行事業者」とは前述の通り事前に税務署による登録を受けた事業者のことで、登録が受けられるのは「課税事業者」のみとなります。つまり免税事業者のままでは、202310月からインボイス(適格請求書等)を発行することができないのです。

 この現状から、インボイス制度導入に備えて、インボイス(適格請求書等)を発行するために基準期間等の課税売上高が1,000万円以下の事業者が「消費税課税事業者選択届出書」を自ら提出し、課税事業者になるケースがでてくるのではないかと考えられています。

課税事業者は免税事業者との取引が減少する

 免税事業者のままではインボイス(適格請求書等)を発行することができないことは前述のとおりです。このことから、インボイス制度の下では課税事業者は免税事業者と取引が減少することが予想されます。実際にそうなるような具体的な規制が始まるわけではありませんが、インボイス制度導入後は免税事業者が売り手となる場合、インボイス(適格請求書等)を発行できないという点が取引上不利になるのは事実です。

 現行法では免税事業者から購入した物やサービスであっても、購入側(課税事業者)は仕入税額控除を適用することができます。例えば課税事業者A社が免税事業者B社から1,100円(うち消費税額100円)の商品を購入した場合、最大100円がA社の仕入税額控除の対象です。仮に100円の仕入税額控除が適用できる場合、A社は課税売上によって受け取った消費税額から100円を控除した金額を納税額とすることができます。

 しかしインボイス制度導入後は、免税事業者B社から商品を購入しても仕入税額控除は認められません。そうした状況で課税事業者C社(適格請求書発行事業者)が現れて、B社と同じ商品を同額の1,100円でA社に売ると提案した場合、A社からすれば同じ金額・同じ商品であるなら、仕入税額控除を受けられる分だけC社から購入した方が得をします。この状況からインボイス制度導入後は、課税事業者は免税事業者と積極的に取引をしなくなるのではないかと予想されています。


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このページは、宝徳 健が2020年12月29日 10:41に書いたブログ記事です。

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