千夜一夜物語4(皇紀弐千六百八十五年 令和七年(2025年)五月二十一日 水曜日)2

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 続きです。少年は十五歳になりました。折しも磁石島の騎士が射落とされたとのうわさが届きました。
  老父は、このかわいい我が子が、アジブなどと言う男に殺されないように、この穴に隠したのでした。

 アジブびっくり。

 少年はかわいくてしかたがありません。それにもまして聡明です。自分の名前を明かすのは得策ではありません。

ア「では十五歳が過ぎれば、危険は確実に去るのだね」
少「はい。その日を待って父が迎えに來ます」
ア「あと何日だね?」
少「四十日です(千夜一夜物語はこの四十という数字が大好きです)」
ア「心配することもあるまい。一人暮らしでは退屈だろうから、私がお相手をしよう。無事に危機が避けられた時には、父上に事情をお話いただき、私が故國に帰れるようにとりはからってはもらえないだらうか?」

 少年は快諾し、二人の生活が始まりました。日々暮らすうちにアジブはこの少年の聡明さが益々好きになりました。日時は嵐のようにすぎ、四十日目がやつてきました。

  アジブト少年の楽しいひと時が瞬く間に過ぎ、つひに、四十日目を迎えました。

 ア「いよいよ今日が最後の日だね」
少「はい、どうやら無事だったようです」
ア「よかった、よかった。ここまでくれば心配ない。何か食べたいものはあるかね?」
少「では、西瓜を一切れ」

 アジブがナイフを取り西瓜の皮をむこうとした瞬間、足が滑ってしまひました。

ア「あっ!」

 聲をあげましたが、もう遅い。ナイフを持ったまま少年の上に倒れてしまいました。ナイフは少年の胸を貫いていました。少年はこときれました。

 アジブは必死に逃げて、地下室の穴を出たとき、沖合に船がみえました。老父が奴隷たちと一緒に島へ戻ってきたのです。

 穴に入った一行が戻ってくるのには時間はいりませんでした。老父の憔悴しきった顔は目を覆ふばかり。奴隷たちが少年の死骸を船に乘せました。船は遠ざかります・・・・・・・。 つづく

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このページは、宝徳 健が2025年5月21日 02:02に書いたブログ記事です。

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