千年企業 ⑲:慶雲館5(皇紀弐千六百八十五年 令和七年(2025年)八月十日 日曜日) 2

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お天道様、今日も苦しみながら十二箇条を達成します 


「家訓」に代わる慶雲館の運営哲学と継承の精神

 慶雲館には金剛組のような明文化された「家訓」は確認できませんが、その代わりに、代々の当主の生き様や経営理念、そして組織文化として深く根付いた運営哲学と継承への強い精神が存在します。


川野健治郎社長の経営理念と「運鈍根」の精神

  第53代当主である川野健治郎社長の経営姿勢は、慶雲館の運営哲学を色濃く反映しています。


「旅館業以外の事業に手を出すな」という教え

 川野社長は、先代から「旅館業以外の事業に手を出すな」と厳しく言い含められてきました 。この教えを忠実に守り、これまで様々な投資話や他の旅館の買収話を断ってきたと述べています 。これは、本業である旅館業、特に「温泉」という核となる価値に経営資源を集中させるという、堅実かつ長期的な経営哲学を示しています。


「いなければ困る」人間になることの追求

 川野社長は、かつて先代から不当に叱責され、会社を辞めようと決意した際に、妻の励ましを受けて「あと10年とことん頑張ってから辞めてやろう。その時に『川野がいないと困るから、どうか辞めないでくれ』と引き留められるような人間になって社長を見返してやる」と奮起したエピソードがあります 。この経験が、自身の存在価値を高め、組織にとって不可欠な人材となることを目指す運営哲学を形成しました 。


「運鈍根」の生き方と謙虚な継承

 田中真澄氏が語る「人生は『一引き、二運、三力』」という考え方を川野社長も共有しており、人からの引き立て(縁)が運を開き、実力を養う上で重要であると認識しています 。先代からの「理不尽とも思われるような無理難題」に対し、「根気強く、粘り強く、徹底して応えていくことによって運命を大きく切り開いてこられた」と評されており、この「運鈍根」(運を掴み、愚直に努力し、根気強く続けること)の精神が、川野社長の精神的基盤となっています 。


 川野社長は、宮崎から出てきて縁もゆかりもなかった自分が1300年の歴史を持つ慶雲館の経営を任されたことに対し、先代から言われた「棚からぼた餅だな」「おまえはシンデレラ・ボーイだ」という言葉を謙虚に受け止めています 。これは、単なる事業継承ではなく、先代の思いや歴史の重みを背負う覚悟と感謝の念を示しています。

 これを慶雲館に言われると、令和の時代の私たちは、「千年」続くというある意味権利を手放してしまった日本人ということになりますね。「今の時代はそんな時代ではない」という言葉が蔓延り、働き方改革という働かない改革をありがたく受け入れているのですから。

 不易流行という言葉の意味が身に沁みます。

千年の 永遠(とは)のあり方 打ち捨てて 今だけ楽しむ 愚かな時代

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このページは、宝徳 健が2025年8月10日 03:29に書いたブログ記事です。

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