千夜一夜物語6(皇紀弐千六百八十五年 令和七年(2025年)五月二十三日 金曜日)

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 つづきです。

   男たちは、アジブをお羊の皮の袋に入れて糸で縫いました。
  「ロック鳥が飛んできて、あなたを山の上まで運んでいくでしょう。山頂に着いたら皮を破って外に出なさい。それから半日、道のおもむくままに山奥へと進めば、黄金に輝く宮殿に着くでしょう。芳香も漂ってきます。そこにあなたの至福が待つています」

 アジブはその通りにすると、山で美しい宮殿にたどり着きました。

 そればかりではありません。扉を押すと、今までみたこともない美女たちが、艶然と微笑んでアジブを迎へ入れました。数えると四十人(この四十とい数は、イスラムにとって意味があります)。

 女たちはこぞっててアジブに媚態を示します。

 アジブがここで送った日々は陶酔と云う言葉ぐらいではとてもあらわすことができません。

 でも、数日經つて、女たちが泣いてアジブに告げました

  「ほんのしばらくあなたとお別れしなければなりません。父の命令で一年の内四十日だけここを離れなければなりません。父のところに行くのです。ほんの少しのお別れです。四十日お待ちください。貴方が退屈しないやように、ここに四十の扉があります。一日一つずつ開けてお楽しみください。中にはあなたが喜ぶ素晴らしいものがあります。でも、ひとつだけ約束してください。四十番目の扉だけは開けてはいけません。それさえお守りくだされば私たちはきっとまたここに戻ってまいります」

 アジブは女たちが立ち去ると一つずつ扉を開けて楽しみました。

 さて、どんなものがアジブを待っていたのでしょうか。 日にひとつずつ扉を開けていくアジブです。

  ひとつあければ美しい景色が廣がります。海の美しさ、山の美しさ、一面に花々の咲き乱れる大地。

 芳香の漂う部屋もあります。数々の美しさの宝石で眼を楽しませてくれる部屋もあれば、ありとあらゆる美食と美酒に満たされた部屋。

 えっ、イスラムで酒?

 と思はれる方もいるでしょう。アラブ世界で飲酒が禁じられるのは、モハメッドが現れ、コーランの戒律が厳しくなってからのことです。ああ、こっそりは飲んでいたのしょうが。千夜一夜物語では、酒を飲んで楽しむ話は満載です。

 さあ、めくるめく三十九日が過ぎました。とびらは「開けてはいけない」と云われた四十番目しか残つていません。アジブはどうするでしょうか? 言うことを聞いて開けない? それともあける? つづく

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このページは、宝徳 健が2025年5月23日 00:12に書いたブログ記事です。

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