たこ焼き屋の闘い:中小企業の知的財産戦略❶
平成十七年(2005年)九月二十日に開始したブログの累計記事が、現在10,244通目です(後で数えなくていいように)。
Latent Value:レイテント ヴァリュー(leɪtənt vælju) 知的財産が持つ将来的な可能性(潜在価値)
あるたこ焼き屋の話。
私がこの世で一番好きな食べ物は「たこ焼き」です。まだ小学校一年生か人二年生の頃でした。家は貧しくてお風呂がありませんでした。三日に一度ぐらい家族全員で銭湯に行くのですが、良い子にしているとたまにお袋がたこ焼きを買ってくれます。3個5円です。子供ながらに1個いくらなんだろう? と思っていました。1個1円なら3円、1個2円なら4円。入れ物代なのかなあ?とか勝手に思っていました。
姉私妹で3人です。一人一個です!!! 一人で全部食べたいなあと子供ですから思いますよね笑。母が「我慢」「人を羨まない心」「思いやり」を教えようとしていたのだと思います。
お客様が来ると50円分たこ焼きを買うんです(だいたいたこ焼きの場合親戚)。30個ですよ!!! 大きくなったらたこ焼きを30円分買って一人で食べよう!と決意しました。私の最初の夢です笑。
当時私は大阪に住んでいましたから、あの関東の大きなねちゃねちゃしたたこ焼きではありません。外がカリッと、中は、ジューシーです。いまだに味を覚えています。あるんですよね。甲子園の近くにこの当時のたこ焼きと同じ味の店が。 今は一度に30個なんて食べませんが私のソウルフードです。
閑話休題。あるたこ焼き屋さんで事件が起きました。
仮の話をしますね。その甲子園にあるたこ焼き屋(「外はカリッ、中はトロッ」)のたこ焼きを焼いていました。でも競合他社が甲子園のたこ焼き屋の味に気付き、それを模倣して「外はカリッ、中はトロッ」の食感を安定して提供できる新型たこ焼き機を開発し、特許を取りました。店も一気に拡大、ブランドイメージをつくりました。この特許により、甲子園のたこ焼き屋は、「外はカリッ、中はトロッ」が作れなくなってしまったのです。
真空パックの通販でも販売されてしまって、甲子園のたこ焼き屋は潰れてしまいました。
もし、甲子園のたこ焼き屋が、「外はカリッ、中はトロッ」が独自技術の頃にたこ焼き機を開発していたら、立場は逆になっていたでしょう。
甲子園のたこ焼き屋にとって、「外はカリッ、中はトロッ」は、Latent Value:レイテント ヴァリュー(潜在価値)だってのです。
これからは、価格とか味とかだけが競争のポイントではないのです。これが海外の会社だったらもっとえげつなくやってくるでしょう。日本が遅れている「経済安全保障」において。
会社には 気づかずものが 眠っている もしも気付けば 成長戦略
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