奈良の都を中心に仏教が盛んになったころ、多くの名僧が人跡未到の高い山に登り厳しい修行を積むことで仙人の術を会得しようとしていました。その一人が有名な泰澄大師(たいちょうほうし:天武天皇11年6月11日(682年7月20日) - 神護景雲元年3月18日)です。白山神社の創始者です。
泰澄大師が白山山頂で荒行を始めてからおよそ一年後のある夜。白山大権現が夢枕に立たれ、こういいました。「この白山のふもとから山川を五、六里行った所に粟津という村がある。
そこには薬師如来の慈悲による霊験あらたかな温泉がある。しかし、まだ誰一人として地中深く隠れたその霊泉のことを知らぬ。山を下りて村人と力を合わせて掘り起こし末永く人々のために役立てなさい。
神のお告げに従って粟津へ赴き、霊泉を掘り当てた大師は試しに病人を入浴させたところ長患いだった病が治りました。そこで大師はこれまでずっと身近に使えていた弟子の「雅亮法師」に
一軒の湯治宿を建てさせ、その湯守りをまかせました。
これが「法師」と呼ばれる宿の千三百年余り続く歴史の始まりでございます。
ちなみに。湯治宿を営んだ雅亮法師の亡き後は養子の五郎が善五郎を名乗り二代目を継承しました。
この名は代々と継承されていて現四十七代目も「法師善五郎」を名乗り当主を務めています。
平成8年(1996年)には、『世界最古のホテル』としてギネスに登録されました(今は、慶雲館が再登録)。四十七代に渡り一族のみで経営を続けています。一千年企業の特徴ですね。
こんな面白いエピソード。これから法師についうて書くのが楽しみです。世界で四番目に古い企業。そして、世界で二番目に古い宿泊施設です。
天からの 仏の教へ ここにあり 千年企業 法師善五郎
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