お天道様、今日も苦しみながら十二箇条を達成します
ギネス世界記録認定と継承の重み
慶雲館は、その驚くべき歴史的継続性が評価され、平成二十三年(2011年)二月に「世界で一番古いホテル・旅館」としてギネス世界記録に認定されました 。この認定は、単に宿の古さを示すだけでなく、1300年以上にわたり53代にわたる家族によって継続的に経営されてきたという、他に類を見ない継承の証でもあります 。この長期にわたる家族経営は、単に血縁による事業の引き継ぎに留まらず、組織のアイデンティティと価値観を維持するための強力なメカニズムとして機能してきたと考えられます。
立地と秘湯としての性格
慶雲館は山梨県南巨摩郡早川町の奥深い山峡に位置し、国道52号から延々と続く山梨県道37号南アルプス公園線を進んだ先にある「秘湯」とされています 。この人里離れた立地は、かつてはアクセス困難な「秘境」と評され、その不便さ自体が訪れる人々に特別な体験を提供してきました。
この物理的な困難さは、単なるデメリットとして捉えられるのではなく、顧客体験における「希少性」と「特別感」を創出する重要な要素となっています。現代社会において、手軽にアクセスできる情報や場所が溢れる中で、「秘境」という要素は、あえて手間をかけて訪れる価値のあるデスティネーション(旅行目的、旅行先)としてのブランド力を高めています。
これは、慶雲館が「世界最古の宿」という歴史的価値だけでなく、その立地自体が持つ「非日常性」という付加価値を顧客に提供していることを示唆しています。
多くの企業が利便性や効率性を追求する現代において、慶雲館は「不便さ」を逆手に取り、時間をかけて辿り着くからこそ得られる「深い癒し」や「特別な体験」という、変わらない本質的な価値を顧客に提供していると評価できます。これは、同業他社との差別化要因となり、顧客ロイヤルティの向上に寄与していると考えられます。また、明日書く経営危機を乗り越えてもこの立地と秘湯の性格を維持していることは、それが慶雲館のアイデンティティの中核であり、安易な大衆化を避ける経営哲学の表れとも解釈できます。
この慶雲閣を語る時、ここの最大の強みである温泉の質のことを挙げて「あそこは枯れない良質の温泉があるからできるんだ」という方が多くいらっしゃいますが、では、お聞きします。では、あなたが温泉の経営者とて慶雲閣を経営したら一千年も続けられますか?
その単純なところシンプルなことをやり続けるすごさというのは私にはできません。
いずれ千年企業として紹介しますが、京都に大好きな一文字和助という団子屋さんがあります。千年企業です。美味しい団子一品だけです。私は団子だけで千年経営し続ける自信はありませんし、なによりイメージがつきません。一文字和助のおかみさんに言わせると、京都では、応仁の乱を潜らないと老舗と言わないそうです笑。
私が、大学生の時に吉野家の牛丼が倒産したことがありました。その時、今で言う心無いオールドメディアは「単品商品の限界が出た」と得意の裏取りなしの報道をしました。東海銀行が建て直しに入りました。店長さん達にヒアリングしました。店長さん達は言いました。「私たちにもう一度美味しい牛丼を作らせてください」と。上層部の無理なコスト削減が最大の原因でした。
明日、慶雲閣の困難を経験した時代のことを書きますが、千年企業は間違いなく「不易流行」の「不易(変わらないこと)」を大切にしながら「新しい時代の流行」を受け入れてきました。ただし、この千年企業でしつこく書いていますが、その流行が不易と流れを一つにするまで、準備をします。
なぜなら皇室の生き方がそうだからです。皇室は538年に、「流行である漢字」が支那から伝わった時、四百年から五百年使いませんでした。万葉仮名ができるまで。そして不易の中に万葉仮名という漢字と流れを流れを一つにするコトができた時に漢字を受け入れました。その皇室の生き方を知っている千年企業はすべからくそれを同じことをやってきています。
私たちは今、インターネットいう流行に身を晒しています。この流行をどうやって世界で唯一神話のから歴史が連続した人間社会の奇跡の国 我國日本という「不易」と流れを一つにすることと作っていけばいいのでしょうか?
あせらずに でも嫌がらず 受け入れる 不易流行 それが千年
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