平成十七年(2005年)九月二十日に開始したブログの累計記事が現在10,495通目です
お天道様、今日も苦しみを楽しみに変えながら十三ヶ条を達成します
日中に精神が弛緩したらもう一度「般若心経」「教育勅語」「大祓詞」を読みます
仕事時間が少し空いた時のために10分間でできる仕事をいくつか設定しておく
108歳の誕生まであと14,967日:絶対にこの日まで命を閉じない!
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このことを帝がお聞きになられて、たけとりの家へ使いをお出しになられた。爺さんは御使者に会い、いつまでも泣いている。このことを嘆くのが原因で、爺さんは鬚も白くなり、腰も曲り、そのうえ目もただれてしまった。じいさんは今年で五十近くであったけれども、かぐや姫と別れる苦しみのために、瞬時に老けてしまったように見える。
勅使、帝の仰せごとであるとして、じいさんに言うには、「たいそう気の毒に、物思いにふけっているというのは本当か」とおっしゃる。たけとりのじいさんが泣く泣く申しあげる。「この十五日に、月の都から、かぐや姫を迎えるために参り来るとのことです。恐れ多くもお訊ねくださいました。この十五日には、ご家来をお遣わしいただき、月の都人が参り来たなら、捕らえさせとう存じます」と申しあげる。
勅使、帰参して、じいさんのようすを帝にご報告なさいます。また、じいさんの依頼事を申しあげますと、それをお聞きになり、おっしゃいます。「人目見ただけの心にも忘れることができないのに、明け暮れ見慣れているかぐや姫を月にやったら、翁はどう思うだろうか」。
その十五日に、帝は、それぞれの役所にご命令になられて、勅使に、中将高野大国を任命して六衛の役所合わせて二千人の人を、竹取りの家に派遣される。家に到着して、竹取りのじいさんの家の土堀の上に千人、建物の上に千人、じいさんの家の使用人などがもともと多かったのにあわせて、あいている隙間もないほどに守らせる。この使用人たちも兵士と同じく弓矢を持って武装している。その一部を建物の上からおろし、建物の中では、当番として、おんなたちを守らせる。
ばあさんは、塗籠の中で、かぐや姫を抱え、じっと座っている。じいさんも、塗籠の戸に鍵をかけて、戸口に座っている。じいさんが言うには、「こんなふうに守っているのだから、天の人にも負けるはずがない」と言って、建物の上にいる人々に言うには、「ちょっとでも、物が空を飛んだら、さっと射殺してくだされ」。守る人々が言うには、「このようにして守っている所で、蝙蝠一匹なりともいたならば、まっさきに射殺して、みせしめとして外にさらしてやろうと思っていますよ」と言う。爺さんはこれを聞き、頼もしく思いながら控えている。
これを聞いて、かぐや姫が言う、「戸を閉めて、守り戦う準備をしたところで、あの月の国の人と戦うことはできません。弓矢をもってしても射ることができないでしょう。このように、鍵をかけていても、あの月の国の人が来たなら、みなしぜんにあいてしまうでしょう。戦い合おうとしても、あの国の人が来たならば、勇猛心を振るう人も、まさかありますまい」。
じいさんが言うことには、「お迎えに来る人を、長い爪をもって、目の玉をつかみつぶしてやろう。そいつの髪をつかんで、かなぐり落としてやろう。そいつの尻をまくりだして、ここらに居る朝廷の人に見せて、恥をかかせてやろう」と腹を立てて、座っている。
かぐや姫の言うには、「大きな声でおっしゃいますな。建物の上に居る人たちが聞いたら、たいそうみっとみないことですよ。あなた様方のこれまでのご愛情をわきまえもせず、出て行ってしまうことが残念でございます。前世からの宿縁が無かったために、このように、まもなく、出て行かなければならないのだと思い、悲しんでいるのです。両親へのお世話を、少しも、いたさないまま出かけてしまう道中であれば、当然、安らかではありますまいから、日ごろも、縁側に出て、月の国の王に、せめて今年だけでもと、休暇の延長をお願いしましたが、まったく許されず、このように、嘆き悲しんでいるのでございます。
ご両親様の御心ばかりを惑わせて去ってしまうことが、悲しくて堪えがたいのでございます。あの都の人は、とてもすばらしく、老いもいたしません。また、悩み事もないのです。でも、そのような所へ行こうとしていますのも、いまの私にはうれしくはありません。ご両親の老い衰えなさるようすを見てさし上げられないとしたら、それこそ後髪を引かれる思いでしょう」
「胸が痛くなるようなことをおっしゃいますな」どんなに立派な姿をした天の使者が来ても差しさわりはないでしょうから」と恨み怒っている。
かかるほどに、宵(よひ)うちすぎて、子(ね)の時ばかりに、家のあたり、昼(ひる)の明(あか)さにも過ぎて、光(ひか)りたり。望月(もちづき)の明さを十(とを)合(あは)せたるばかりにて、在(あ)る人の毛の穴さへ見ゆるほどなり。大空より、人、雲に乗りて下(お)り来(き)て、土より五尺ばかり上がりたるほどに立ち連ねたり。内外(うちと)なる人の心ども、物におそはるるやうにて、あひ戦はむ心もなかりけり。からうじて、思ひ起こして、弓矢をとりたてむとすれども、手に力もなくなりて、萎(な)えかかりたる、中(なか)に、心さかしき者、念(ねん)じて射(い)むとすれども、ほかざまへいきければ、荒れも戦はで、心地(ここち)ただ痴(し)れに痴(し)れて、まもりあへり。立てる人どもは、装束(さうぞく)のきよらなること物にも似ず。飛ぶ車一つ具(ぐ)したり。羅蓋(らがい)さしたり。その中に、王(わう)とおぼしき人、家に、「みやつこまろ、まうで来(こ)」といふに、孟(たけ)く思ひつるみやつこまろも、物に酔(ゑ)ひたる心地して、うつぶしに伏(ふ)せり。いはく、「汝(なんぢ)、幼(をさな)き人。いささかなる功徳(くどく)を、翁つくりけるによりて、汝(なんぢ)が助けにとて、かた時のほどとてくだししを、そこらの年ごろ、そこらの黄金(こがね)賜(たま)ひて、身を変へたるがごとなりにたり。かぐや姫は罪をつくりたまへりければ、かく賤(いや)しきおのれがもとに、しばしおはしつるなり。罪の限(かぎ)りはてぬれば、かく迎ふるを、翁は泣き嘆く。あたはぬことなり。はや返したてまつれ」といふ。翁答へて申す、「かぐや姫をやしなひたてまつること二十余年になりぬ。『かた時』とのたまふに、あやしくなりはべりぬ。また異所(ことどころ)にかぐや姫と申す人ぞおはしますらむ」といふ。「ここにおはするかぐや姫は、重き病(やまひ)をしたまへば、えいでおはしますまじ」と申せば、その返りごとはなくて、屋の上に飛ぶ車を寄せて、「いざ、かぐや姫、穢(きたな)き所に、いかでか久しくおはせむ」といふ。立て籠めたる所の戸、すなはちあきにあきぬ。格子(かくし)どもも、人はなくしてあきぬ。媼(おうな)抱(いだ)きてゐたるかぐや姫、外(と)にいでぬ。えとどむまじければ、たださし仰(あふ)ぎて泣きをり。たけとり心惑ひて泣き伏せる所に寄りて、かぐや姫いふ、「ここにも、心にもあらでかくまかるに、のぼらむをだに見送りたまへ」といへども、「なにしに、悲しきに、見送りたてまつらむ。我を、いかにせよとて、捨ててはのぼりたまふぞ。具して率ておはせね」と、泣きて伏せれば、御心惑ひぬ。「文を書きおきてまからむ。恋しからむをりをり、取りいでて見たまへ」とて、うち泣きて書く言葉は、この国に生まれぬるとならば、嘆かせたてまつらむほどまで侍(はべ)らん。過ぎ別れぬること、かへすがへす本意(ほい)なくこそおぼえはべれ。 脱ぎ置く衣(きぬ)を形見(かたみ)と見たまへ。月のいでたらむ夜(よ)は、見おこせたまへ。見捨てたてまつりてまかる、空よりも落ちぬべき心地する。と、書き置く。天人(てんにん)の中に、持たせたる箱あり。天(あま)の羽衣入(はごろもい)れり。またあるは、不死(ふし)の薬(くすり)入れり。一人の天人いふ、「壺(つぼ)なる御薬たてまつれ。穢(きたな)き所の物きこしめしたれば、御心地悪(あ)しからむものぞ」とて、持(も)て寄りたれば、いささかなめたまひて、すこし、形見とて、脱ぎ置く衣(きぬ)に包まむとすれば、在(あ)る天人包ませず。御衣(みぞ)をとりいでて着せむとす。その時に、かぐや姫、「しばし待て」といふ。「衣(きぬ)着せつる人は、心異(こと)になるなりといふ。物一言(ひとこと)いひ置くべきことありけり」といひて、文(ふみ)書く。天人、「遅し」と心もとながりたまふ。かぐや姫、「物知らぬこと、なのたまひそ」とて、いみじく静かに、朝廷(おほやけ)に御文奉(たてまつ)りたまふ。あわてぬさまなり。かくあまたの人を賜(たま)ひて、とどめさせたまへど、許さぬ迎へまうで来(き)て、取り率(ゐ)てまかりぬれば、口惜しく悲しきこと。宮仕(みやづか)へ仕(つか)うまつらずなりぬるも、かくわづらはしき身にてはべれば。心得(こころえ)ず思(おぼ)しめされつらめども。心強くうけたまはらずなりにしこと、なめげなるものに思しめしとどめられぬるなむ、心にとまりはべりぬる。
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