さまざまな困難を乗り越えてきた凄さ
法師が1,300年もの間、存続できたのは、単なる運や伝統によるものではありません。幾度となく訪れた危機を、その強い精神力と柔軟性で乗り越えてきました。
戦乱の時代: 室町時代から戦国時代にかけての争乱では、多くの商家や宿が焼失しました。しかし、法師は地元の有力者や領主との関係を築き、中立の立場を保つことで、直接的な被害を免れることができました。とにかく遠くは白村江のの戦い、室町時代、元寇というのは、日本にとっての大きな事件でした。これを乗り切った経験が大東亜戦争の時に生かされていないというのは、いかに歴史を学んでこなかったかということになります。
明治維新と経済構造の変化: 明治時代に入ると、西洋文化の流入や交通インフラの変化により、温泉地の客層やニーズが大きく変わりました。法師は、この変化をいち早く捉え、新たな客層(特に富裕層や外国人)の受け入れ態勢を整えるなど、積極的な事業戦略を打ち出しました。
度重なる災害: 過去には、洪水や地震などの自然災害にも見舞われましたが、その都度、地域の協力を得ながら迅速に復旧を果たしてきました。強固なコミュニティとの結びつきが、危機の際の生命線となりました。
経済危機とパンデミック: 近年では、バブル崩壊後の長期不況やリーマンショック、そして新型コロナウイルスのパンデミックといった経済的な危機に直面しました。特にコロナ禍では、創業以来初めての長期休業を余儀なくされました。しかし、この期間を利用して施設の改修やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、再開後にはより質の高いサービスを提供できるよう準備を進めました。これにより、緊急事態宣言解除後には、客足が再び戻ってきました。
これらの困難を乗り越え、現在もなお世界最古の企業として存在し続ける法師の歴史は、伝統を守りながらも革新を恐れない 経営姿勢の強さを物語っています。困難に前を向く。これは経営にとって大変なことです。この心構えの強さ、順境にして悲観し逆境にして楽観するとは言葉では簡単ですが、法師だけではなく、素晴らしい経営者はこれを必ず実践していす。
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